花卉園芸。
  観葉植物、一部の盆栽以外のほとんどの花卉園芸では花を観賞する目的で栽培されている。
果樹園芸。
  果実を収穫するための園芸であるから、その前提として花が咲かなくては話にならない。
蔬菜園芸。
  果実を収穫する野菜では、果樹と同じように花が咲かなくては話にならない。


そういうことで、花を咲かせる技術、毎年安定して咲かせる技術は、
園芸では非常に重要なものである。
そこで、自然を観察していると・・・・わかったことがある。
 1 日照時間が多い年。
 2 雨が少ない年。
 3 根つまりが起きている株。
 4 枯れる寸前の老木。
 5 幹、茎に傷がついた枝、木、株。
 6 鉢に根が廻ったもの。
 7 紫外線で株が弱ったもの。
 8 根が水浸しになったもの。
 9 強く剪定しなかった木。
10 肥料が切れたもの。

大体以上のような状態になったものが、比較的花が早く、多く咲くことが見られる。
その全ての項目が・・・植物を老化させる要因である。
老化すると・・・植物がなぜ花を咲かせるのか?
己の体が死ぬ予感???を感じると、その前に子孫を残すために咲く。
予感を感じたとき・・・・どんな物質が発生し、花芽分化を誘起させるのか????
フロリゲンだという。
このフロリゲンというホルモン。
近頃発見されたというが・・・・本当に花分化を支配しているのであろうか????


以上のようなことから・・・・
ラン栽培でも・・・花を咲かせる技術が提唱されてきた。
 1 小さな鉢に植える。
 2 鉢に根が回るまで植え替えない。
 3 花芽分化時に水を控えて乾燥させる。
 4 光を強く当てる。
 5 花芽分化時に窒素が切れた状態にしてP、Kを与える。

他の植物では
  1 剪定を弱くする。
  2 枝に針金を巻く。
  3 枝に環状剥離する。
  4 根を水に浸す。(酸欠にして弱らす)
  5 生育抑制ホルモン剤を散布。

 6 エチエンガス処理。

 以上のようなことが行われている。
 この技術は・・・ほとんど全て「イジメ」である。
 植物を苦しめて花芽分化を促すという技術である。
 ランの場合は、このイジメが過ぎると・・・その後の回復が困難になる。
 植物栽培の名人の技術を見ると・・・・
 50%老化、50%若さを維持させている。
 この若さを保ちつつ、花をホドホドさかせる技術が名人の技術である。
 Cymbidium栽培では、この名人技術をもった人は皆無といっていい。
 鉢に根がぐるぐる廻り、窮屈で窒息するようにして何本も花を付けるようにする。
 こういう栽培では・・・鉢を市場に捨てる・・・鉢物経営は成立するが、切花経営は破綻する。
 ランが喜んで咲いているのではないからである。
 大栽培経営は難しい!
 このイジメて咲かせるやり方で・・・世界の大規模蘭園は・・・ほとんど破滅した。

 日本の盆栽園芸は、世界に誇る技術で文化であるが、この園芸が成立するのは、
 目が届く・・・手塩にかけて育てる・・・鉢数ではじめて成立する。
 これと同じことがラン栽培にもいえる。
 ラン菌の生息しない用土でのラン栽培で成功するのは、
 鉢数が少ない場合に限られる。
 老化と若さを・・・同時に持続維持させるには・・・・栽培面積、鉢数が限定が絶対の条件である。
 そういうことで、水ゴケ、バーク、軽石でも・・・どうにかランを生かし、 咲かせてきた。
  株の老化と・・・2,3年植えっぱなしによる用土の劣化が重なる。
  花を咲かせたい思いで、上記のような操作、技術を行使すると、
  ランの場合は、回復不能に陥る。
  初心者の間は、怖いもの知らずで・・・花を咲かせることに・・・何でもやる。
  しかし、10年、20年行いにしたがって、ラン栽培は難しいと嘆息することになる。
  これまでの用土では、どう頑張っても・・・進歩は無い。
  先人が歩いた嘆息の歴史を己もまた歩むだけ。
  原種保存のつもりが・・・原種絶種になる。
 ラン栽培の歴史は・・・こういうことで作られてきた。
 200年全然進歩が無かった。
 
 この問題を解決するために、近年多くの園芸資材が開発されている。
 その多くは「光合成」を活発にするというもの。
 限られた葉の工場で・・・より多くの炭水化物(澱粉)を作らせるというのである。
 ラン科植物は菌根植物である。
 ラン菌削除の用土で植えて、より多くの光合成を行なわせるという。
 その前に健全な葉、根が出来ているかということである。
 老化した株の回復に必要なエネルギーは・・・老化した葉では満足に澱粉を作れないのである。
 若さと老化は矛盾したように見えるが・・・・
 自生地では・・・バランスが取れた状態で生きている。
 ラン菌が助けてくれるからである。
 ランはラン菌を削除しなかった。
 共生関係を解除しなかった。
 その理由は、若さを維持持続させるためである。
 
 SUGOI-ne。
 SUGOI-neで栽培してみると、前記のイジメの栽培をしなくとも、
 水ゴケ、バークに比較すると・・・苗から初花までの年数が短くなる。
 更に、大きな鉢に植えても咲く。
 水切りなどしなくとも咲く。
 こういうことが実際に起こった。
 これまでのラン栽培の常識が・・・覆る結果が出てきた。
 元気で、若々しい株に・・・素晴らしい花が咲き誇るのである。
 これは・・・何を意味しているのであろうか。
  イジメテ・・老化させると花が咲く???
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kouza 10hh